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”東海道”沿いに江戸~現代の建物が混在!『国際芸術祭あいち2022・有松会場』

 

『国際芸術祭・あいち2022』

愛知県の4箇所の街で行われる芸術祭『あいち2022』のブログ記事最終編となる「有松会場」に行ってきた

会場は有松駅近くの旧東海道600m間の建物で、そこに9組のアーティストの作品が展示。あいち2022全4箇所の中では一番規模が小さく、歩くルートがシンプルで楽にまわることができた

※有松とは

江戸時代から有松・鳴海絞り(布を糸でくくって染めることで様々な模様を出したもの)を産業として発展した街。有松絞り国の伝統工芸品に指定されていて、以前このブログに書いた「有松絞りまつり」もここで開催されている

また国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されているエリアは、江戸~明治~大正~昭和の様々な古い建物が数多く現存。その建物は文化財として保存されているだけでなく、現役でカフェ、ショップ、工房などにも使われている

趣あるこの建物はデイサービス施設になっていた。あいち2022の直接の展示ではないけれど軒先には作品がズラリ

 

ミット・ジャイイン『ピープルズ・ウォール(人々の壁)』

会場内の8軒の軒先にリボン上の絵画『ピープルズ・ウォール』が展示

タイトルにもあるように”権威主義に抗う市井の人々のちからを象徴する旗”という意味合いがあるみたい

今のところの日本で見る分には、ゴキゲンなだけの飾りに見えがち。不安定な国でこれを見ると元気もらえたりするってことかな

『1000回のカレンダー』

希望者が持ち帰り、帰宅後リボンを解いて自分だけの作品を制作、それをネットにアップしていくという作品

 

プリンツ・ゴラーム『見られている』

屋敷に仮面がいくつも掛けられ、広間でパフォーマンス映像が流れる作品

ムービーは43分。仮面でゆっくり動いていると、なんでもないような動きでも不気味さが増していた

 

ガブリエル・オロスコ『トロ・シャク(回転する尺)』

日本固有の単位「尺」と「回転」をテーマにした作品。この作品の基になっている棒は6尺で、まわりの和室の間取りや畳にサイズ的に呼応している

こちらは3尺

タクシーの運転手から譲り受けたノートパッド。インク確認のために書かれた模様が「回転」だという意味かな

 

道中で偶然アーティストに遭遇!自分が豊田で展示した時に初めて会って、ゾウ好き仲間としてお話した方。いくつものゾウのマリオネットを作っているとのこと

調べたら2019年にナニコレ珍百景で紹介されたらしく、大須商店街辺りで有名らしい

このゾウは背中にモノを入れられる便利なコ

 

ユキ・キハラ『サーモアのうた-Fanua(大地)』

サモアの伝統的な生地「シアポ」と「振袖」の文化的特色を融合させた作品。生地には現代のサモアが直面する諸問題が描かれている

 

AKI INOMATA『彼女に布をわたしてみる』

有松絞りでミノムシに蓑(みの)を作らせる作品

有松絞りの制作過程の紐でくくった部分がミノムシの蓑に似ていることから着想を得たらしい

羽化して飛び立った後の蓑を展示

 

イワニ・スケース『オーフォード・ネス』

オーストラリアの先住民族の主食「ヤム芋」の形のガラス作品。「メメント・モリ(死を想え)」の念を伝えているとのこと

ガラス群の中を通れるようになっている

 

イー・イラン『ティカ・レーベン(マットのリボン)』

長いリボン状の布が会場に垂れ下がった作品

ムービーにはマレーシアの島と漂海民バジャウ族の海上集落の間の54mをこのリボンでつないだドキュメントが上映

 

まとめ

有松会場は良くも悪くもコンパクト。会場をまわりやすいのと同時に、ボリュームは少ない印象で、ムービー作品とばしつつ急いで歩けば90分くらいでまわれる規模だった

ここから愛知芸術文化センター会場までは電車乗り継いで45分くらいでいけるので、そちらと合わせて1日で2会場を観るのには適しているといえる

あと細かい事かもしれないけど、自分としては靴を脱ぐ場所が6ヵ所もあるのが気になった。毎回靴紐をしっかり結び直すのはストレスなので、後半は紐をゆるゆるに結んでスポッっと履けるよう対応したものの、それはそれで歩きにくくて結局ストレス感じてしまった

 

この会場で気に入ったのは『AKI INOMATA』ミノムシの作品。虫に無理させているみたいでちょっと可哀想とも思ったけど、”虫の産業利用”と考えて割り切ればすごく面白い作品だと感じた。(自分はもともと虫が好きではないし、大学では畜産を学んだので生物の産業利用に抵抗少なかった)

この作品観るためにはここに来るしかないんだけど、「あいち2022」の他の3会場と比べると優先度は低いかなと思う

 

全4会場のオススメ度まとめ

これで4会場まわったので各会場のオススメ度をまとめると

【1位】一宮市会場 ー 有名作家アリ、様々な特徴ある会場、レトロな町並み

【2位】愛知芸術文化センター会場 ー 大量の作品が一気に観られる

【3位】常滑市会場 ー 会場をつなぐ道そのものが魅力的

【4位】有松会場 ー シンプルな導線、趣ある古い町並みと伝統産業

の順番。最終的に全部行くならどの順番でもOKだけど、日数が限られているなら上の順位の会場から行くのが自分としてのオススメです!

 

【あいち2022 名古屋市・愛知芸術文化センター会場の記事↓】

【あいち2022 一宮市会場の記事↓】

【あいち2022 常滑市会場の記事↓】