とよたまちなか芸術祭2021
・開催期間 2021年12月4日~25日
・開催場所 愛知県豊田市の駅前市街地 計16ヵ所
・開催内容 29組のアーティストによる展示、16組のパフォーマンス、15組のマルシェ
2021年3月に開催された「第1回・とよたまちなか芸術祭」が9か月の短期間で早くも第2回の開催。場所と参加アーティストが倍増し、より”まちなか感”のあるイベントにパワーアップした
展示
ホテル・アンティーズ 会場
シティーホテル「Aunties(アンティーズ)」 のエントランス横スペース。普段は机がおいてあるらしいこのスペース。机をどけたら白い壁に高い天井、ピクチャーレールに大画面モニター完備で最高のギャラリー空間だった
あまのしんたろう
『フライングモンキーテイル』
豊田市にある名鉄三河線の廃線区間を歩いて撮影したシリーズ。壁作品は写真におもしろタイトルを付けて非現実的な光景になっている一方で、映像作品は線路沿いを徐々に歩いて撮影が進んでいく様子が記録される現実的な光景になっている
現実の中のそこかしこに非現実が潜んでいると表現することで「現実と非現実の境目はそこまでクッキリしていない」というメッセージになっている
ノベルティグッズ「しおりカード」を会場で無料配布。豊橋市での展示では「階段のしおり」が一番人気だったけど、ここでは「ネコネコのしおり」が一番人気だった(↓途中増産したのにこの写真を撮った最終週にはもうなくなっていた)
田中あつこ
壁の左右の作品はライブペイントのもの。一見テーマが分からなくてもタイトル見るとなるほどと納得できて面白かった。Tシャツ作品のちょっとだけこっちを迎え入れようとしてる手の角度が好き
公式イベントのアーティストトークツアー開催日には会場で作品説明
kabo. 会場
365 wishes
時と願い、気持ち、祈りをテーマにした作品とのこと。建物のガラスに針と時計盤が別々に描かれていて、どれかの針がどれかの時間を示しているような、いないような不思議な作品。時間によって太陽光の向きが変わると作品自体の見え方が大きく変化する
新しくできる豊田市博物館の「記憶を集めるプロジェクト」との連携企画で「記憶集め」のコーナーも。自分も高校時代に豊田の陸上競技場で遭遇したちょっと怖いことを書いてみた
HUUKU 会場
第1回とよたまちなか芸術祭では自分が展示した場所
中谷ゆうこ
机の絵は豊田のまちを空から見たもの。垂れ下がった鎖が指し示している地点がこの作品のあるHUUKU会場
梶千春
庭園のような作品。でも素材は紙らしいからこの飛び石的なものには乗っちゃいけない、注意!
謎の素材感も相まって穴の中を覗くの勇気いる
豊田画廊 会場
山岸大祐
直径60㎝くらいの大きな陶器オブジェ作品。4つ足なので生き物のようにも見えつつ、何かのマシンのようにも見えた
こちらは20㎝くらいのサイズ。なんかかわいい
楽風 会場
喫茶&ギャラリー。お店スタッフの人が展示慣れしているので、こちらが入口で一瞬立ち止まるだけですぐに奥の展示会場に促してくれて「展示見ていくだけでも全然OK」な雰囲気を出してくれる。もちろん食事することも可能
安藤麻里亜
記憶の不安定さを表現した作品。間近にいるより少し離れた方が内容が見えてくるっていうのも”記憶”っぽい気がする
「サンドウィッチ・ミックス large チーズ抜き(税込850円)」を注文。一人で食べられるギリギリくらいの大ボリューム。卵焼きはあったか、ハムトマトは冷えててどっちもおいしい!
EAST ENDERS COFFEE 会場
白水ロコ
店内の白い壁を月夜の矢作川の水面に見立てて、そこに精霊たちが集まったという作品
横田典子
前回のとよたまちなか芸術祭でも「ツチ・ビト」のシリーズを展示していたけれど、その時は黒いゴツゴツした作品だったのに対して今回は真っ白で滑らかな「ツチ・ビト」という作品だった。ツチ・ビトとは何なのか、次はどうなるのか気になる
緑陰ギャラリー 会場
あさひ小学校年生×前嶋芳枝
マスク画『コロナが終わったらやってみたいこと!』ということで、4年生90名の作品がズラリ
CMB 会場
服屋さんの店内が会場。ギャラリー空間でなく普段のお店の状態をほぼ崩してないという意味では最も”まちなか感”のある会場と言えるかもしれない
つちやみさ
矢作川で採れた石に「矢作」の名にまつわる故事に関係した絵を描いた作品。”蝶”が描かれた石は分かったけど、この大きい石はいろいろなものに見えすぎて何を描いたか特定できなかった。これも蝶だったのかも??
津田健太郎
裏表に写真があって吊ってあった。微妙な空気の流れで回転して裏側の写真が見えるようになっていて、そのゆっくりした回転スピードが絶妙
また店の左右に対になるように同じ写真が配置。同じネガからプリントした写真でも全く同じというわけではないという”違い”を感じる作品
中央図書館 会場
山下拓也
京都の古民家の床板を使った版画。図案のManta Rayは魚のマンタのこと。別室にはこれが作られる過程の記録映像が流れていた。版画そのものというよりはこの行為そのものを楽しむ作品なのかな
七州城 隅櫓 会場
光岡幸一
海の見える坂道の上から石を転がしていく作品。転がっている時は”一つの石”として回転していくけれど、途中で止まってしまうとすぐにその場所になじんでしまい、静かにその景色の一部になってしまうのが面白かった
一応のゴールは坂を下り切る事だと思うので、何回もやっていつか成功させる感じで”スロットマシン的な面白さ”もあった
第一画廊 会場
成田帆花
ひみつを醸成する装置とのこと。悩み事なんかが整理されたり解決したりしそうな気もする反面、”醸成”なんだからちいさなひみつがおおきなひみつを生んでしまいそうでもある
紫乃 ~murasakino~
壁の絵画が今回の作品で、真ん中の大きな器はもともとこの画廊にあった鈴木五郎の作品。なんだけど、ここに入ってるツルやススキの葉なんかは今回用意したものらしい。おかげで絵と器がやけになじんでイイ空間を作り出していた
豊田市民文化会館 会場
モリモト♭
「不平等に思ったこと」を本の背表紙に書いて並べて、みんなで共有することで心の凹凸がフラットになることを願った作品。参加型で会期中に次々と本が増えていく
パフォーマンス
真宗大谷派 三河別院挙母支院 会場
駅から数分の至近距離で街中のビルに囲まれたお寺。入口は小さいけれどお寺そのものは結構大きい
田中あつこ(ライブペインティング)
ホテルアンティーズ会場でも展示している作家田中あつこがお寺の庭スペースでライブペインティング。筆は使わず素手と布、時には絵の具を直接かけて描いていた
作家が描いてるの観て自分も描きたくなったとき用
作品タイトル「挙母の龍」が完成!
大崎奈々×井内貴仁
キーボードとサックスのデュオ演奏。会場の本堂は↓この通りかなり大きい
四季すべてをかけめぐるメドレーや、この季節に合わせたクリスマスメドレーなどなど。自分が一番心惹かれた演奏は「カイト(嵐のオリンピック曲)」
マルシェ
12月19日には豊田市民文化会館と豊田市美術館の間にある枝下緑道で「マルシェ」が開催。アートブースとフードブースが並び、ステージも設置されていた
変な陶芸
御面屋
このよのはる
プロジェクションマッピング
一旗
12月19日の17時~20時には豊田市民文化会館で「デジタルアーティスト集団:一旗」によるプロジェクションマッピングが展開。この壁に前から描かれていた絵を強調するような光の使い方の作品だった
この作品を観たことでもともとここにあった絵も再注目されたと思う。今までなにげなく目に入っていた壁だけど、見る目が変わったかも
後日、昼にきて日の光で元の絵を見てみた
まとめ
今回の記事では写真が撮りやすかった展示や、作家のこれまでの作品を知っていて説明を書きやすい展示を抜粋して掲載。豊田市文化センター・喜楽亭の展示ホー・ツーニェン『旅館アポリア』は撮影禁止だったり、日時限定のパフォーマンスに立ち会えていなかったりしてイベントすべてを網羅したわけではないけれど、これでも一応の雰囲気は紹介できたはず
展示会場すべてをまわるとだいたい半日くらい。「とよたまちなか芸術祭」の名前のとおり豊田市駅前の中心地を休憩挟みつつ歩き回ることで、アートを楽しみつつウォーキングにもなるちょうどいい距離感だった
全部見るのが一番だとは思うけど、とはいえ時間のない人には「EAST ENDERS COFFEE会場(土日のみ)」⇒「豊田画廊会場」⇒「ホテルアンティーズ会場」がオススメ。駅から近めで、それぞれの会場も近く、あまのしんたろう作品も見られるコース!
近くに住んでいてまだの方はぜひ来てみて下さい!