静岡県御前崎市にある中部電力が運営する「浜岡原子力発電所」 その敷地内にある博物館施設『浜岡原子力館』に行ってみた
ここは原子力発電や新エネルギーの仕組みを楽しみながら学べる施設で、”家族連れ”から”どこかの社員見学の団体”まで幅広いお客さんが来ていた
中部電力のPRという側面のある施設なのでもちろん無料で楽しめる
○新エネルギーホール
「浜岡原子力館(本館)」の手前にある博物館でやや子ども向きの施設
入口は行ってすぐにある二階への道の未来っぽさがイイ。 一階部分には近隣の地域のジオラマがあった
ジオラマには名所が表記されていて、手元のボタンを押すと・・・
急に丸い穴が開いて・・・
下から新たなジオラマが登場!
掛川城も押してみると・・・
まさかのクローズアップ!
2階部分はテレビゲーム的なものが多めで子ども向けに作ってあった
唯一マジメな雰囲気の展示がこれ。ただ、バイオマス燃料の話には”うんこ要素”があるから、子どもの食いつきを完全に諦めているわけではなさそう
3人で同時に別の場所からスタートして、発電スポットを取り合うゲーム。学ぶことよりもゲーム自体に熱中してしまいがちな楽しさ
例として3パターンの風速を体感した後、問題となる風が吹いてきてその風の強さを当てるゲーム。体で感じる系の展示はとっつきやすい
宇宙船を操って、陽イオンと陰イオンをバランスよく集めるようなゲーム。これも”学び”そっちのけで一人称フライトゲームを楽しみがち
丸い大きなスクリーンのある丸い部屋でクイズなどをするシアター
自分の立っている位置が四角く区切られていて、どこにいるかをセンサーが感知、自分の分身が画面上に立つ。Aなら左の方、Bなら右の方に立つみたいなクイズが展開
四角の端っこの中途半端な場所に立つと、この画面の世界から消えることができる
プログラムの最後では今までたっていたところがスケスケになって、街並みを見下ろせるジオラマが広がっていた
何かよくわかんないけど、すごそうな部品が展示されていた。”世界一複雑な打楽器”とか”野菜工場のメイン刃”とか言われても信じちゃいそう(本当の答えは蒸気タービン)
○休憩所エリア
『新エネルギー館』と『浜岡原子力館(本館)』との間に休憩所がある。この休憩所の巨大さに「全館ゆったり見たら一日がかりになるぞ」というメッセージめいたものを感じた
・おみやげ処さくら
ちょっとした軽食とお土産が買えるお店。一企業のPRエリアにこんなものまであることが驚異的
このあたりに住む”遠州っ子”は麩菓子といえばこの「さくら棒」を思い浮かべるらしい。自分は茶色い麩菓子の味が苦手なんだけど、このピンクいやつはおいしいかもと思った。一口だけ食べてみたいおかし
商品のPOPがトレンドに敏感だった!
こちらも時事ネタ捉えてる。普段から置いてあるものの中から、時流に関連あるものをピックアップするのはセンス必要だと思う。ここのPOP作ってる人すごい
休憩所のベンチのペイントが独特。原子力館のマスコットキャラクターや、お茶を摘んでる人の写真??
・郷土展示ホール
休憩所のエリアに御前崎市の郷土資料が展示されていた
故郷かるたは全国的にマニアがいる分野だったはず
○浜岡原子力館(本館)
こちらは新エネルギー館よりも歴史がありそうな立派な建物。奥に展望台も見える
「エネルギー・環境ゾーン」がリニューアル工事中だった。地図で見たところそれなりに広いエリア。今回見られなかったの残念過ぎるから、また再訪してチェックしたい!
マスコットキャラクターの「ユウユウ」が、クイズを出してくれる。待機中に表情がいろいろ変わっていい顔してた
レゴランドと提携しているみたいで、レゴの遊び放題コーナーが作られていた。ここで思い切って時間使う手もあるにはある
・オムニマックスシアター
ここの超お得コンテンツ。巨大な球形のスクリーンのシアターで40分位のムービーが無料で見られる
今回行った期間はアニメ「かいけつゾロリ」と、「アフリカ」っていう野生動物のドキュメンタリーを順番に上映していた
「アフリカ」は以前にどっかでみたことあってこれで2回目なんだけど変わらず楽しめた。ちなみに「アフリカ」のオススメのシーンは”川にいるワニが陸の牛を捕らえる時に、真上にかち上げて空中で川の方に引っ張り込む”ところ。襲われたと思った瞬間すでに川の上にいる絶望感がすごい
上映時間近くになると場内アナウンスがされるのでうっかり者でも安心
展望台からは本物の原子力発電所が見られる。安全上の理由か何かで撮影禁止なので写真見せられないのが残念
・原子力発電のしくみゾーン
「原子炉模型」は実物大で高さは22m。普段は静かな佇まい。説明タイムが来ると部分的に稼働して、色々なところが光ったりする
足元にあるおかげでスケール感が分かりやすい
「防波壁模型」こちらも実物大のサイズ
「顔はめパネル」を発見。この体勢だと横向きになるのが自然かな。”横顔の顔はめパネル”は斬新
この制御パネルが一番カッコよかった。”たまに旅館に置いてあるミニゲーム”みたいな並びなのも好き
冷却水の展示は”触れられる展示” こういうのは印象に残りやすくていいなあって思う
・安全性向上対策ゾーン
ゾーンの入口で写真撮影をするとモニターに顔が映し出される”変則的顔はめパネル”
ゾーンの出口には放射性物質が体に付いていないかチェックするマシンがあった
・原子燃料サイクルゾーン
奥に進むにつれて内容が複雑になる。それに反比例するようにアトラクション要素が増えるので、何とか興味を保てるしくみ
クロマキーで画面の中に入って飛行したり、多人数参加型のクイズシアターがあったりと、アノ手コノ手で楽しませようとしてくる
ゾーンの片隅に怪しげなエレベーターが
地下500mまで行って放射性廃棄物を見られる
エレベーターの継ぎ目がピッタリしすぎている気がするけど、そういう野暮なこと言ってはいけない
よく見るタイプのドラム缶に入れていると思うと、ぐっとリアリティーを感じる
全体像の模型も大きくて精巧で見ごたえアリの出来栄え
まとめ
”子どもにも大人にも原子力を知ってもらうためにはどうしたらいいか”を追究した結果がこの”楽しさ優先”の展示方法なんだと思う。他の博物館に比べてお遊びゲーム部分が目立つものの、帰るころにはマジメ一辺倒の博物館よりも格段に大きな”学んだ感覚”があった
2011年3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震での福島第一原子力発電所事故を受けて、現在でも運転停止状態にある浜岡原子力発電所。安全面でのPRが多く電力会社の打算的なイメージアップとも捉えられかねない展示内容ではあるものの、この博物館の”楽しさ”は紛れもない真実だった
【実物大つながりの記事】yummyart.shintaro-amano.com