【前編の記事】
通りがかりのおばあさんに教えてもらった道順で「袈裟切り地蔵」のある場所に向かって歩いてみた
「すぐ先の道を右に曲がって、まっすぐ行ったら突き当たるから左に曲がると、道じゃない道があるからそこを進む」
まず、すぐ先の道を右に曲がっても、突き当らずに国道一号線に出てしまった。だいたいの方向は合ってるはずなので、何度も道を行き来してそれらしい道を探してみた
そうこうしていると、道の掃除をしていたおじさんが「何か探してるの?」と話しかけてきた。「袈裟切り地蔵」への行き方を聞いてみると「あんなところにいくの?さわったらたたりが……むかし死体を埋め……ゴニョゴニョ」みたいな、言葉を濁した感じ。地元的には縁起が悪いところらしく、そこを探していることを不審がっているみたいだった
「お参りをすると良いって資料館で見たんですけど」と伝えると、一応納得してくれたみたいで「200mくらい先の、ほらあそこに見える森の中」と指さして詳しく教えてくれた
指さしてた森はこの場所だと思うんだけど、本当にここ確信が持てなかった。右に畑があったからそのための道なだけなんじゃないかと。ただ、おばあさんもおじさんも「舗装されてない道を進んでいけばすぐお地蔵がある」と言ってはいたから、合ってるのかも
進んだらすぐに道が完全に途切れていて、これ以上先は崖になっていた。さすがにこんな道通るところが観光パンフレットに載ってるわけないので引き返した
すごく近いところまで来てるはずなのに、どうしても見つからない「袈裟切り地蔵」 もしかして逸話の通りお地蔵が化けて道を教えていて、迷わされてるんじゃないかという不安が出てきた
とりあえず車に戻って崖の下側に道がないか探してグルグルしていたら「袈裟切り地蔵」を知ることになった発端の資料館「おんやど白須賀」の前に出たので、そこで道を聞いてみることにした
資料館の事務所にいた2人に話をしたら、道の説明が難しいらしく1人のおじさんのかたが車で先導して連れて行ってくれることに
着いた先はやっぱりさっきの森の近くだったけど、畑用としか思えない地味な細い道の方に車が止まった。下の写真の、右の崖と畑の囲いの間が地蔵への道で、その先に森を通れる穴があるとのこと。ちなみにさっき引き返した行き止まり地点は写真の左端の奥あたり
道を歩いていくと右側の崖下に国道一号線がみえた。ここまで地蔵への案内板は全くなかった
おじさんの先導で森の穴につっこんでいく。横も縦もすごく狭くて、右側の足はもう崖を踏んでるくらい足元が細い。一応ここが「道」になるように左側から伸びる木の枝は切ってあった。崖にビビって左に寄るとこれが不意にコツンと肩に当たって、崖方向に体を持っていかれる
やっと念願の「袈裟切り地蔵」に到着。一体だけが袈裟切りになってるはずだったけど、もうほとんどの地蔵が朽ちて地面に体が転がっていて、どれが袈裟切り地蔵なのか分からなかった
おじさんは「来てみたらどうってことないでしょ」と言っていた。たしかに一体だけ割れてたら怖いのかもしれないけど、全部こんなだと怖くない。でも思い返したら、地元の人たちが怖い前提で話してくるからそれにつられただけで、もともと自分は津波を鎮めてくれる「いい地蔵」だと思って探してたんだった。別に怖いつもりはなかったんだけどなあ
話によると、ここは移転後の場所らしくて、もともとは大きな道の方にあったとのこと。学校を建てるために動かしたとか。今回の自分のように、ちょくちょく観光客がここまでの道を聞きにくることはあるらしく「パンフレットに書いてあるのに案内板ないのはよくないから、立てるように言っておこうかな」とは言っていた
おじさんにお礼を言って、最後にもう一度「袈裟切り地蔵」にお参りをして、ここを後にした
ただの名所観光がちょっとした冒険になって、いい具合の予定の狂い方をしてくれて大満足だった
【探険つながりの記事】