愛知県半田市にある『新美南吉記念館』に行ってきた
新美南吉は『ごんぎつね』など多くの童話を作った児童文学作家で、この半田市出身。作品の舞台もこのあたりの風景が基になっていることが多く、生家や養家やお墓、作中に出てくる山や川などが市内に散らばっていたりする
名前をパッと見ると「”新”美南吉記念館」っぽくて最近作られた感が強い
新美南吉記念館の外観
館自体が庭園と同化したようなつくり。なだらかなうねりが美しくて外から眺めても楽しめる
地下なのか地上なのか曖昧な感じがいい
近くの小山には遊歩道があって今でも少し自然が残っている童話の世界に入れる
エントランスホール
入場料210円という激安ぶり。単純な価格の安さじゃなくて、施設の充実ぶりから考慮した場合のコスパがすごい!
エントランスがコンパクトなのに見栄えのする作り。正規の順路はあるんだけど、この時点で行ける通路が5つも見えている。RPGならすでに名作の香りがする序盤
順路の示し方
来場者を眺めるキツネの子ども
展示室
展示の情報量と雰囲気作りの小物のバランス最高
この窓以外に使い道のなさそうなカーテン。細かいところで非現実な演出がされていて、童話の中の世界に入りやすい
南吉の等身大人形の出来が素晴らしい
童話『ごんぎつね』に登場する兵十のモデルになった兵重のもっていた猟銃。この銃で”ごん”を撃ったといえなくもない
南吉は29歳で亡くなっていて結婚していない。この”初恋の人”の重要度がすごく高い
各作品の元本が見られる。かなり手直しがされていて人間味が
『手袋を買いに』の各シーンのジオラマ
童話作家とはいえ新美南吉も人間。感情むき出しなメモが残っていたりする
新美南吉の作品の中でも有名な『ごん狐』は児童雑誌『赤い鳥』で発表された。その『赤い鳥』を作った鈴木三重吉は、もともとの南吉の文章にかなり修正を入れていて伝わりやすいように作り直した
まだまだ若い新美南吉の文章を完成の域に仕上げたことを考えると、作品の2割くらいはこの人のものな気もする
書斎の再現コーナー。本当にこんなきれいな部屋だったのかは疑問。物が少なすぎるような
カフェ&ショップ「ごんの贈り物」
奥の方にはカフェもあるグッズコーナー。いろんなタイプのごん狐の絵本があったり
これがあれば一級の観光地だと思ってる!
ラウンジエリア
2014年に矢勝川で見つかったキツネの死骸の剥製。タヌキはたまに見る気がするけど、愛知でキツネは見たことがない。ここにはまだいるんだなあ
「てぶくろをかいに」でお店で手を見せるシーンがリアルサイズで再現
トイレに入ったら無垢な目で覗いて来た
てぶくろをかいに (大人になっても忘れたくないいもとようこ名作絵本)
- 作者: 新美南吉,いもとようこ
- 出版社/メーカー: 金の星社
- 発売日: 2005/08/01
- メディア: 大型本
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「矢勝川の彼岸花」
新美南吉記念館のすぐ前には「ごんぎつね」の舞台となった矢勝川がある。秋になると彼岸花の鑑賞地として有名
権現山を見つめるゴン
この権現山に住んでいたキツネだから”ゴン”という名前がついたはず
花の終わりぎわに行くと、日なたの花はしおれてて日陰の花は真っ赤という黄泉の世界っぽい光景が見られる
まとめ
この新美南吉記念館は、南吉の作品にもグッとくるんだけど、南吉の人生の中で起こった出来事や、関わった人たちのエピソードでも感動できたりする。自分としては、モノを作るうえでの考え方や覚悟なども体感できて、定期的に来たくなる場所
楽しさと感慨深さが両立したいい内容の展示に加えて、何より入館料が激安。ぜひみなさんにも気軽に行ってみてもらいたい。レジャー感覚でも、学び感覚でもイケる良いスポット!
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