2019年1月19日~2月11日まで愛知県豊田市で開催のあいちトリエンナーレ地域展開事業『Windshield Time - わたしのフロントガラスから』
これは豊田市街地7ヵ所で現代美術の展示をするアートイベントで、豊田市としては初の試みとのこと
全会場は距離的にまとまった場所にあって、仮に各会場だけを最短距離で歩くなら20分程度でまわれる近さ。全会場の作品を見て楽しむとしても2時間~3時間くらいあればいけそうで、実際自分は2時間でまわった
1. 喜楽亭
プラネタリウムや子ども科学館もある豊田産業文化センターの敷地内にある元料理旅館の建物が「喜楽亭」 2階建てになっていて10部屋+通路に3名のアーティストの作品が展示
●小栗沙弥子『カード/喜楽亭、立体物』
「日常の取るに足らない不用物」を使って空間を彩った作品。下にちりばめられているカードは、ガムの銀の包み紙を衣類などの値札に付けたものらしい
●鳥巣貴美子『たんぽぽもどき』
雑草を大きなキャンバスで描いた作品
●小島久弥『臨界点2018年「ヒカリ」』
2階は窓を閉め切って暗い状態での展示。暗いっていうだけでテンション上がるから楽しく見てたんだけど、あとで作品解説見たら”2018年の水害”がテーマになっていた。そういうつもりで観てなかったから今度もう一度観に来ようと思う
2.旧愛知銀行豊田支店
駅に隣接したT-FACEという大きなデパートの一階部分にある会場。地図上では分かりやすそうな場所なのにデパート内からは入れない。駅から続くデッキを下に降りて、デパートを回り込むように歩くとひっそりとドアが
●荒木優光『サミ-ケディ-ラ-ビオ(マイクロコズム)』
映像と音響の作品。豊田スタジアムの各所に人が立ち、声を出し続けている映像が各部屋に設置。自分のいる部屋で発せられている声と隣の部屋の声が共鳴して、異質な空間になっていた
●徳重道朗『あなたのヘッドライトまで』
元銀行の地下ということで、金庫部屋での展示。中は真っ暗になっていて係の人にライトを渡してもらって自分で照らしながら展示を見る
テレビでよく見るような深夜の見回り警備員になったような気分になれて楽しかった、オススメ
3.豊田市駅下空店舗
名鉄豊田市駅を降りて階段を下るとすぐの会場。駅から一番近く一番見つけやすい場所で、電車で来る人はまずここで資料をもらうと動きやすいはず
●松田るみ『/』
会場の中をライブ撮影した映像と、事前に会場の近くを定点カメラで一日中撮影した風景を壁に投影。「いま」と「少し過去」が混在している感覚に陥る
隣の建物のロッテリアの映像
4.参合館
豊田市の中央図書館があるビル「豊田参合館」 駅からすぐの距離なのは分かっていても、それらしいビルが多くてピンポイントでここに行くのは難しかった
●コタケマン『みんなの塔』
廃校になった旧豊田東高校の黒板で作られた塔。来た人がなんでも自由にかくことが出来る楽し気な作品
上の白いモノに風穴があいていて、そこから液体が流れ出ているという事は「割と重いテーマなのかも?」と思ったりしたけど、全然違うかもしれない
5.西町会館
かなり昔からありそうな公民館。入口周りのチラシや張り紙の”地域感”が凄かった。展示会場はこの2階。そこに上がる階段の途中にあったオブジェ作品も素敵
●津田道子『歩くことの条件』
”巡る”ことが”舞い”につながったという説を基に、うろうろすることがテーマになった作品。映像の中の人もうろうろするし、来場者もうろうろする
6.豊田市役所
作品展示は東庁舎と南庁舎に一つづつあってちょっと分かりにくい。それに加えて作品のない西庁舎というのもあるので注意
●松田るみ『ビュートレス - 市役所の内側と外側をなぞる』
ワークショップイベントとして開催した、ガラスの向こう側をなぞり描いた作品。市役所一階のガラス全面がアートで賑やかになっていた
●徳重道朗『あなたのバックミラーまで』
市役所にあった使っていない物を集めて展示空間をつくり、今回参加している他のアーティストたちの関連展示をまとめた作品。大掛かりな秘密基地っぽい空間
7.とよた大衆芸術センター
元ビジネス旅館をリキャスティングしたのが「とよた大衆芸術センター(TPAC)」この会場はアーティストユニットNadegata Instant Partyがディレクターを務める「とよた市民アートプロジェクトRecasting Club」の拠点
●Nadegata Instant Party『Check in Counter Culture』
今回のイベントではNadegata Instant Partyを含めた30組以上のアーティストが展示やパフォーマンスを展開
この会場の内容を詳しくまとめた記事はこちら↓
まとめ
それぞれの会場が楽に歩ける近さなのがすごくイイ。そして、会場そのものが魅力的な場所だったりするので、アート作品とともに会場自体の雰囲気も両方楽しめて素晴らしかった!
ちょっと要望を挙げるなら、それぞれの会場に簡単にでいいから作品の説明を書いといてほしかったかな。作品見ただけでは何のことか分からなくて、後で調べて理解するモノもあった。会場に常駐している係の人にその都度聞けばいいのかもしれないけど、恥ずかしがり屋には厳しいような・・・
まあ地図と作家の解説付きパンフレットはどこの会場にも置いてあるので、それを手に入れて作品の前で読むようにすればある程度大丈夫か
一番のオススメは「全会場をまわること」なんだけど、本当に時間がない人用にオススメを書くなら
2.旧愛知銀行豊田支店会場の徳重道朗『あなたのヘッドライトまで』
7.とよた大衆芸術センター会場のあまのしんたろう『愛環クエスト』(←自分アピールね)
この2つは予備知識なしの無説明でも楽しみやすい作品!