愛知県半田市にある”酢”で有名な会社「ミツカン」が運営する『ミツカンミュージアム』に行ってきた。ここは2015年にオープンした新しい博物館で、ミツカンの酢作りの歴史や、醸造の技術から、現在の食への提案まで体験型の展示をまじえて楽しんで見学できる施設
館内を案内スタッフと一緒に巡って色んな説明を聞く”ツアー方式”なので、事前に空いてる時間帯を予約しておく必要がある。1ターンだいたい25名までだから、休日の見学は余裕持って予約とらないと全日埋まってしまうことも
営業時間というか案内開始時間は9時30分で、それから30分ごとに見学ツアーが組まれていて最終便は15時30分。1回のツアーは90分くらい。定休日は木曜日となっている
”通常のツアー形式”の時は入場料300円。まれに地域のまつりの時などに開放イベントがあり、その時は案内説明がない代わりに無料で館内を見学することができる(※初めて観る場合は説明があった方が絶対良い)
○ミツカンミュージアムのアクセス
車で行った場合は大通り側の「駐車場」に停めることができる。こちらはミュージアムの裏側に当たる場所で、入口に行くには歩いて建物を回り込んでいくことになる
現在のミツカン本社はこの辺りでは飛びぬけて大きいビル。この写真の道路のつきあたり、200mくらい歩いたところが「JR半田駅」 電車でミツカンミュージアムに来る場合はこのビルを目印に歩けばすぐ
こちらがミツカンミュージアムの入り口前の運河。昔はここで工場用の水を採ったり、完成した酢を船で運んだりしてたみたい
「MIZKAN MUSEUM」だから略して「mim」 ミツカンの英語表記が「MITSUKAN」じゃなくて「MIZKAN」なのは、そっちの方が外国人は発音しやすいかららしい
中に入るとすぐ受付があり、予約時間になるとそのままツアーが始まる
○ゾーン1「大地の蔵」
ツアーで巡るコースは大きく5つのゾーンに分かれている
まず最初の部屋でこの”ミツカンミュージアム”の簡単な説明とツアーの注意事項のムービーを鑑賞。”2つ上の写真↑”と同じ場所の昔の姿も見られた
昔の酢の製造工場がそのままのスケールで再現。創業当時は”不要になった酒粕”から酢を作り、それが当時流行り始めていた”お寿司”とマッチし発展していったらしい
一般的な”酢”というのは”酒を発酵させたもの”なので、まずは”酒”を作ってその後に手を加えて生産していく。どうやら昔の人も「だったらお酒売ればいいじゃん」っていうもっともな意見は持っていたらしい。そこを”酢”にこだわったのがミツカン創業者”中野又左衛門”のすごいところ
この部屋の中央にある樽は、通常時は白く光っているだけだった。参加者が集まってみんなでのぞき込むと、急に底が透明になって真下にある現在のミツカンの生産工場が丸見えに
この工場は開発や特別な商品だけを作っているみたいで、現在では大規模な工場は栃木や大阪にあるとのこと
ガラス越しに酢づくりの管理風景も見学。表面にイイ菌みたいなやつが広がって膜みたいになるのが良好な状態とのこと。工場見学的な要素はこの部屋が一番強かった
昔の道具などの展示はサラッと通って特に説明はナシ。”面白いとこはしっかり説明、資料的な部分はサラッと流す”という、案内説明の強弱がはっきりしたツアー
実際に触ったり感じたりできる部屋は、一通り説明を聞いたらしばらく自由にまわれる
桶をもって運ぶより”天秤棒”を使えば楽に運べる。これは模型だから2つで15kg。当時は酢約60kgを運んでいたらしい
中に入っている酢の量を樽の上部を叩いて判断する展示。何となく音が違う気はするものの、満タンのモノと空っぽのモノでさえ区別がつかなかった
いろんな原料の”酢”の匂いを嗅げるコーナー。穀物製はすっきりした匂いで、果物製はクセが強い感じ
○ゾーン2「風の回廊」
半田山車祭りで各山車ごとに使われる文様がならぶ回廊。ただ歩くだけでも気持ちいい。左に昔のミツカンの写真が並んでいるけど”雰囲気作り”程度の扱いで深い説明なく通り過ぎる感じがクール
”昔のムービー”も見たい人がいれば見られるくらいの扱いで、もっとお客の食いつきの良さそうなところに時間を割いてくれる(こういう資料的な展示が好きな人は無料開放イベントの時にくるのがオススメ)
○ゾーン3「時の蔵」
建物の中なのに、建物がある不思議
タイムスリップ感を出す光の演出が見事
時の蔵に入ってすぐの真っ暗な部屋で、光の演出が。何かごつごつしたスクリーンに映像が映し出されていた
明るくなるとそれはスクリーンではなく”巨大な船”だった
壁を長ーく使って、時代ごとにミツカンの発展がまとまっていた。”寿司の発展”は”酢の発展”でありそれは”ミツカンの発展”とほとんど同じ意味をなす
「弁財船」と呼ばれるこの船で半田から江戸まで酢を運んでいた。ただ、この船はこのサイズでもまだ小さい方だそうで、もっともっと大きな船で運ぶこともあったらしい
階段で上の階に上がると船を側面からみられる。この船は乗り込むことができて、そこでムービー上映が行われる(もうこのあたりで入場料の300円は安すぎると思い始めていた)
江戸時代の酢の運輸を軽快な音楽とアニメーションで表現。嵐の映像に合わせて実際に風が吹いたり雷が光ったり
○ゾーン4「水のシアター」
次のゾーンは、30席くらいある本格的な映画館のような空間
ミツカンのキャッチフレーズ「やがて、いのちに変わるもの」をテーマにした食のムービーを鑑賞した。美しい自然の映像とともに季節ごとの料理を紹介するもので、特に”酢”を使った料理ではなくいろいろなものが出てきた
自社のCMっぽくなりすぎないように配慮してるのかもしれないけど、こっちとしては今までのツアー流れでミツカンの“酢”に興味津々なので、なんならミツカン製品のオンパレードでも構わないくらいの気分だった。奥ゆかしいのは良いけど、変に気を使わなくてもいいのにって印象
○ゾーン5「光の庭」
新しいテクノロジーを駆使した体験型のモノだらけのスペース
まずは一服でミツカンのジュース「ブルーベリー黒酢」「りんご酢」を試飲
画面の前で体を動かすと反応するスクリーンを使ったゲーム。鍋料理を完成させるのが大きな目的で、太鼓の達人みたいにリズム良く食材を切っていくゲームや、画面上に出てくるアクを全部取るみたいなゲームなどがあった。1つのなべを作るまでにいろんなタイプのゲームがあって遊びごたえ満点
1分間に何問解けるかのクイズゲーム。ツアーで聞いたことと、自力で考えないといけない問題が混在していた。しっかり考えればわかりそうな問題を急いで答える、時間と確実性の取捨選択が楽しかった
紙粘土のシャリを使ってお寿司の握り方を体験できるコーナー。みんなで食材の前に並んで、スタッフの先生のやり方を真似ていくとお寿司ができる
むかし自分で食材用意してお寿司を握ってみたことがあるんだけど、まずお寿司屋さんで使っているような”握りやすいシャリ”を作るのが難しかった。ペタペタ手にくっつくシャリになったり、ビショビショのシャリになったりと、握り方うんぬん以前の問題に直面した思い出がある
ズラリと並んだお寿司のサンプルの机にはたくさんの引き出しがついていて、それぞれお寿司の豆知識が潜んでいた
このお寿司の模型はさっきの紙粘土のシャリと違って、一粒一粒の米が表現されていた
ミツカンの味ぽんに自分の顔のラベルを付けられるコーナー。味ぽん代200円で自分だけの一本が作れる
日本各地の鍋料理レシピをラップ調の曲に合わせて学べる。韻を踏んだ歌詞になっていたりして、力の入れ方がすごい
今まで見た中で一番おいしそうな食品サンプルかもしれない!
■ショップゾーン
ミツカンの調味料だけでなく、ここでしか買えないようなレアアイテムも。ちなみこのショップは、ミュージアムの入口と繋がっているので見学ツアーに参加していなくても無料で行くことができる
ミツカンは納豆も作っている。それを受けてつくらてたのがこの「納豆かきまぜ棒」納豆好きならぜひおさえておきたいミツカンオリジナルグッズ!
「酢ぷぅん」一日にこの一杯分の酢を採るのが健康にいいらしい。瓶の首にかけられるコンパクトなサイズがイイ
悪ふざけも真剣にやるとカッコよくなる!
帰りぎわに「江戸時代のお寿司」というマニアックなペーパークラフトがもらえた
ミツカンミュージアムの前の広場には茶屋が。ここは知多半島産のフルーツを使ったジュースがメイン。休憩のちょうどいい空間だった
子どもの日の近くにいくとイベント「半田運河の鯉のぼり」が見られる。50組の鯉のぼりが並んでいて、夜になるとライトアップもされるとのこと
運河沿いを歩いていくと対岸をぐるりと回って散策できる。ミツカンミュージアムの第6の部屋として「○ゾーン6『現在の回廊』」にしてもいいくらい趣がある
この散策コースには「木の香」という木工雑貨&カフェが併設された木材工場があった。看板犬が凛々しく佇んでいて、この子を見るためにまた散策したいくらい
まとめ
企業がやっている博物館は無料のモノも多いけど、このミツカンミュージアムは300円の入場料にも納得の素晴らしさだった。ツアー形式の見学だと全部の説明きくのがツライことがあるんだけど、ここは面白いとこを深く、そうでもないところはサラッと流す判断が絶妙なので、時間があっという間に過ぎて”楽しい”という気持ちのまま90分を過ごせた。施設面や運営面などでも勉強になる、色んな意味でオススメのツアーだった!
ここまで褒めといてなんだけど、ミツカンミュージアムは5月7日から7月下旬までさらなるパワーアップをはかるリニューアルのため休館する。リニューアル後も凄そうだけど、現時点でも満足度の高い博物館なので、すぐ行ける人は急いでいってみてほしい!
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