生贄×リアル×呪物×ビデオ!色んな種類の怖さ
愛知県犬山市にある野外民族博物館「リトルワールド」は世界中で実際に使われていた31の家や建物を集めてそのまま敷地内に移築したテーマパーク
館内は一周2.5㎞でサッと見て回るなら所要時間は2時間。だけど各建物の説明書きをしっかり読むと途端に5時間以上経ってしまう
そんな楽しく学べるリトルワールドの中に、ちょくちょく”怖い”内容のモノが潜んでいるのがまた魅力。パッと見て明らかに「怖い映像や雰囲気」のモノもあれば、説明を読んで初めて「コレってそんな怖いモノなの⁉」と後から怖くなるものまであり
今回はそんな”リトルワールドの怖いモノ”を常設展示中心に紹介していく
↓エントランスの「Little World」の文字が良く見ると人型でちょっとびっくりする
オリジナルキャラクターがまず怖い
後述する『韓国の仮面劇』に登場する支配階層「ヤンバン」を基に作られたキャラ。色んなデザインで描かれてクッキーやケーキ、ポーチ靴下マグネットとグッズかしている。でも、どれも何とも言えない不気味さのある表情をしていて見方によっては相当怖い
子どもが遊ぶ遊具にしれっと紛れていた。この表情は少し悲しげで怖さ要素は紛れるかも
屋外展示の怖いモノ
『子熊のおり』北海道・アイヌの家
「熊送りの儀式」で殺す子熊を入れておく檻。神の化身である子熊の魂を神の国へ送り返すとのこと
『キヌアの焼きもの』ペルー・大農園領主の家
ペルーのアヤクーチョ県キヌア村はユーモラスな陶器作品を作ることで知られている。置物としての用途以外に、お祝い品や魔除けなどにも使われるらしい。写真の人形は”筋肉”なのか”ガイコツ”なのか”服”なのか、茶色なせいで色々想像が掻き立てられる
『説明文のない人形』ミクロネシア・ヤップ島の家
展示案内板には何も描かれてない場所にポツンと佇む人形。写真奥に写っているのが本筋の通路なので、そこから見えないよう隠れているのも意味深
配置図でいう石貨(レプリカ)の右下あたりにあるはずだけど2025年5月現在には何も描かれていなかった
『玩具展示室』ドイツ・メルヘンバルト2階
おもちゃ制作の展示の木工職人たちがリアル過ぎる
ここの1階は賑わってるお土産屋だし、2階展示の序盤もおもちゃ工場で”明るい雰囲気”続いてたから、この人形がいきなり目に入って怯む子ども多数
テディー・ベアーの制作手順の紹介。完成像をハッキリ知っているだけにバラバラ状態を見るとびっくり
『いけにえ用の塚』西アフリカ・カッセーナの家
迷路のような家の一角にある塚。祖先のまつりを行うため、いけにえとしてニワトリなどの血をこの塚にそそぐとのこと
『死者の扉、悪霊が通る穴など』インド・地主の家
伝統的、儀式的な装置が詰まった家。ぱっと見は大したことないんだけど、説明文を読んだら途端に怖くなるものが多い
「ナドミッタム」家の中心に、死者を洗い清めて火葬後も霊を供養するための場所がある
「死者の門」遺体を家から送り出すときにだけ開けられる
外から見た「死者の門」
「神の部屋」一族の神々が椅子で象徴されているらしい
「出産部屋(生理小屋)」女性が月経の時には3日間、出産のときには15日間こもるための部屋。インドには現代も続く風習で”閉じ込められる”と表現してもいいくらい。無機質な部屋だがこれでも下層階級の扉もないようなボロ小屋よりは大分ましだったように思われる
「悪霊が通る穴」5㎝くらいの穴が真っすぐ家を貫いている。悪霊が家に入ってしまうのは仕方ないという考え方みたいで、中にとどまらせないよう素通りさせる道をあえて作る作戦
本館展示室の怖いモノ
『旧石器時代の洞窟』本館第1室「進化」
進化の後半の骨格標本は現代人とほぼ同じだからガイコツそのもの。本館は段々怖くなっていくから、こわがりな人はここで引き返すのも手
「洞窟」壁に古代壁画が映し出される洞窟風の通路。かなり暗いから子どもにとっては怖いはず。この先にはもっと怖い雰囲気の場所があるから、引き返すなら早い方が良い
『ジオラマ』本館第2室「技術」
道具を使った生活がリアル過ぎる人形によって再現されたジオラマ
ヒトのサイズ感そのままで、まるでガラスの中に人間がいるのかと見間違えるほどの出来栄え
表情も服のサイズ感、使用感もバッチリ。近くで見ても結構人間っぽいから怖い。いっそ動いてくれた方が安心できる
『こんにちは』本館第3室「言語」
このエリアに入るとすぐ「こんにちは」と言ってくるビデオと、アイヌ語の昔話のビデオの音声が。単体ずつならまだしも、それが重なって聞こえてくるから”不気味系の怖さ”になってしまう
『民俗学ビデオ』本館第4室「社会」
「財と権威コーナー」身に付けたり所有することで権威を表すアイテムの展示。ただカッコいいだけではなく畏怖を与えるようなデザインが多かった
「呪術師とシャーマンのビデオ」呪術で病気を治したり、殺人の呪術だったり、死者がのり移る巫女を撮影したプロジェクトが流れ続ける。生贄とか普通に使うしショッキングな映像多め
「葬礼のビデオ」鳥の羽根で飾る、ミイラ作り、鳥葬など、こちらも民俗学的に深く取材がされていて公開意義の高い映像となっている。その分ショッキングなモノも多い。見た目にグロいわけではないけど、亡くなった子どもを抱えて泣き叫ぶ母の映像なんかは心に来てしまうヒトも多そう
「装飾された頭がい骨」ただの仮面かと思ったら頭蓋骨を基に作られていると知ってビビった
『各国の仮面』本館第5室「価値」
1階から2階部分に至る広く薄暗い展示室。ズラリと並ぶ仮面や人形にだけ照明が当たって浮かび上がる様は壮観。ただ見ようによってはものすごく怖いかもしれない
『韓国の仮面劇』かつて祭りで演じられた劇の中で、支配階層の地主や僧侶はこれらの醜く滑稽な仮面をつけて登場した。これらの仮面は劇が終わると焼き払われたとのこと。面白いデザインではあるんだけど病的な仮面も多く”うっぷん晴らし”としての意味合いもありそう。作られた意図を考えると人の闇深さが見えてまた怖い
『ボリビアのカーニバル』カーニバルはキリスト教の祭りでボリビアではさまざまな人が仮装を楽しみ行進。派手な仮装ができる悪魔が主役で天使は脇役らしい。虫みたいないかついデザインが多い中で、写真の個体のモコモコした胴体とのギャップが怖かった
『マコンデ族の仮面』素材がよく分からない仮面。灰色の肌に茶色い目、やけにリアルな造形なのに歯はデフォルメされて飛び出てて凄い
『名もなき彫刻』本館展示2階出口の先
本館展示2階の出口からお土産スポット「ワールドバザール」に向かう途中に何気なく置いてあった木が、見た事ない笑い方をしていた
まとめ
ショックなレベルで怖いのは本館展示。ここに子どもを連れて行くのはオススメしない、たぶん泣く。屋外展示の中だとインドの地主の家が怖さトップだけど、説明文読まなかったら頑丈そうな家なだけ。なので子どもが入っても大丈夫(逆に大人の方が怖く感じそう)
今回紹介した常設展示の他にリトルワールド公式企画として「怖いモノ展」や「怖いモノツアー」がたまに開かれる。つまり公式も”怖い展示”という認識は強くあるみたいで、分かっててやってる安心感はあるかも
普通にまわったらただただ楽しめるけど、怖いつもりで行くとより怖くなるのがリトルワールドの面白いところ。気になった方はぜひ”覚悟”して行ってみてほしい!
【グルメ目的ならこちらの記事がオススメ⇩】
おまけ(過去にあった怖いモノ)
アフリカで吊るされていたワニ
ヨーロッパの人形
アイヌの熊
夜のヨーロッパの甲冑